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【体験談】23歳でブラック企業を労基に訴えた話

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職場に不満があって労基に訴えようとか、相談だけしてみようかなと思ってる人はたくさんいるのではないでしょうか。

どんなものを証拠として提出したらいいのか。訴えた後はどういう流れで話が進んでいくのか。労基は本当に動いてくれるのか。本気で悩めば悩むほど気になりますよね…

私は3年ほど前にブラック企業を労基に訴えました。

その時に私自身が経験したことを書きたいと思います。

初めに言っておくと私は訴えるのはおすすめしません。

なぜなら心身ともにダメージが大きすぎるからです。

この記事がブラック企業を見捨てて次の職場を探そうと思うきっかけになれば良いなと思っています。

労働環境

当時の職場はリラクゼーションサロン。

  • 社員は月6回休みで年間休日72日のシフト制。
  • 有給休暇という概念がないし年末年始休業もない。
  • 月給は基本給18万円+交通費のみ。手当や残業代という概念もない。
  • 労働時間は8~8.5時間で、休憩は1時間きっちり取れる。

登場人物

【従業員】

  • 店長…パートさん、元エリアマネージャーだったこともあり先生のお気に入り。
  • 先輩…入社5年目、超々ストイック。子供の体操教室のコーチもしてるすごい人。私に甘い。
  • 私…入社2年目、最年少。褐色のすきっ歯(当時)。
  • 後輩A…入社6ヶ月目、愛用のラインスタンプは「スーパーブス」。優しいお姉さん。
  • 後輩B …入社4ヶ月目、元整体師見習い。向上心の塊で真面目ないい人。優しい。

【本部】

  • オーナー…会社のトップ。年始に自らチョコレートを持ってくるチョコレートおじさん。常に機嫌が悪い。
  • 先生…オーナーの妻でリラクゼーション部門のトップ。原色の口紅に原色のスーツ。店長に絶大なる信頼を置いている。

毎年のように最低賃金が上がっていくのに給料がいつまで経っても底上げされないので、基本的に皆1年経たずに辞めていく、そんな毎日。

私はもともとアルバイトだったけど、皆が辞めていって先輩の負担が大きすぎるので、ブラックだという自覚はありましたが社員になりました。

7人いたスタッフがとうとう4人になってしまったところに後輩Bが入社。

最低賃金が改定されても給料は変わらず、最低賃金以下で働かされることに。

何度か店長経由で先生に給料について相談してみたものの、売上を上げたら考えるとしか言われず、ついに労基へ相談に行くことになりました。

労基に相談してから残業代が支払われるまで

  1. 話し合い
  2. 労基へ(相談2回、申告1回)
  3. 調査開始
  4. 未払い賃金の受け取り

大まかに言うとこのような流れでした。

初めて労基に相談に行ってから未払い分を受け取るまでは約半年。

話し合い

休みも給料も少ないのに忙しい日々が続いて社員4人の心が折れかけていたので、店長に最後の相談に。

社員が最低賃金以下で働いていることについて店長に話してみると…

しょうがないんちゃう?

という悲しい言葉が返ってきたので、その場で労基に相談に行ってきますと宣言しました。

労基へ〜1度目の相談〜

手元にあるもので証拠になりそうなものが給与明細しかなかったので、一応過去2年分の明細を持って労基へ。

【労基】

労働基準監督署、略して「労基」。

その名の通り会社が労働者に不都合な条件で酷使してないかを調べてくれる私達の味方。

ちなみに、本気で訴えたい人は自分が勤めている職場の近くの労基に行くこと。

私は奈良県民ですが職場は大阪だったので、職場のある市区町村を管轄している労基を調べてから行きました。

電話で質問することもできるので、現地まで行く時間がない人は電話でもオッケー。

建物に入るまでは緊張しますが、入ってみると普通の役所と同じ感じです。

案内された席に座って、まずは持参した給与明細を渡して見ていただきました。

私が見せた明細はこんな感じ。

左端は労働時間などが記載されるはずですが、その項目すらなく白紙。

残業代という概念がないので、もちろん基本給のみ。

赤い丸で囲っている部分のみ金額が書かれているイメージです。

2行で事足りるんですよね(笑)

やはりこんなシンプルな明細は珍しいそうです。

給与明細は「基本給はいくらで、何時間働いて、この額を支払います」というような情報をひと目で分かるようにしたもの。

なのにそれが全く分からないと。

有給休暇の記載もないし。最悪ですね(笑)

ちなみに私が次に勤めた職場の明細はこんな感じでした。

この明らかな違い。

初めてお給料を頂いた時は文字が多すぎて思わず目をパチパチしてしまいました。

残業代って、有給休暇って…本当に貰えるんだ…みたいな。

カルチャーショックですよ。

まあこの通り、ちゃんとしてる会社もあります。

こういう職場があることを知らないおバカさんは搾取されるってことですね…

大変勉強になりました。

明細を見せたあとは、何の知識もない私でもわかりやすいように本来の仕組みを説明してくださいました。

【36(サブロク)協定】

法定労働時間を超えて労働を命じる場合に必要な届出のこと。

この届出を提出しても無限に残業させてはいけない。

上限は月45時間、年360時間。

【変形労働時間制】

シフト制の職場に多いシステム。

1ヶ月or1年単位で労働時間を自由に調整できる仕組みのこと(要申告)。

繁忙期には長時間勤務して、閑散期には短時間勤務をすることができる。

例:土日祝は忙しいから10時間労働だけど、平日は6時間労働。

リラクゼーションサロンの場合は月単位の変形労働時間制が多いです。

ひと月あたりの日数法定労働時間
31日177.1時間
30日171.4時間
29日165.7時間
28日160時間

この法定労働時間を超えてしまうと残業代が発生します。

※36協定も変形労働時間制も必ず就業規則に明記しないといけません。

ちなみに就業規則は従業員がいつでも見られるところに保管してあるはず。

当然のごとく私の職場には就業規則自体が用意されていませんでした…

【月給制の残業代を計算する方法】

ひと月分の基本給をベースとして、残業代が発生した場合は1時間あたり1.25倍賃金を割増して計算する。

  1. 基本給÷法定労働時間(残業を含まない労働時間)=1時間あたりの給料
  2. 1時間あたりの給料×1.25倍=1時間あたりの残業代
  3. 1時間あたりの残業代×残業時間=その月の残業代

【有給休暇について】

  • 出勤日数に応じて年に1回付与される。
  • 付与された日から2年以内に使わないと消滅してしまう。
  • 休む理由に関わらず、事前に申告すればいつでも使って大丈夫。
  • 2019年以降は該当する従業員は年に5回以上の有給休暇消化が義務化に。

今は有給休暇を使ってない人が1人でも出たら会社側は罰金を払うことに。

こういうのこそ学校で教えないとダメなのでは??

ずる賢い経営者に消耗品のように使い捨てられる人々を減らすために。

あまりにも自分が世間知らずだったので悲しくなりました。

最後に明細のコピーを取ってもらって帰宅。

後日面談でもう一度店長にお話しましたが鼻で笑われて終了。

もう限界でした。

労基へ〜2度目の相談〜

会社を訴えるにはどうすればいいのか詳しく教えてもらうため、店長には内緒で2度目の相談へ。

訴える条件は、「書面でもいいので先生に直接給料の交渉をすること。

直談判がダメだった時に初めて労基が動けるということでした。

この時に自分の本気度を伝えることもできるし、なるべく大事にしたくない会社なら労基に訴える前に支払いに応じる可能性もあるそう。

この時渡した文章は必ず期限を設けて可能であれば書面で回答してもらうように。大切な証拠になるのでコピーを忘れずにとっておきましょう。

【交渉失敗した時】

  • 申告しない→そのまま我慢して働き続けるor辞めて違う職場を探す。
  • 申告する→証拠と印鑑を持ってもう一度労基へ。氏名を公表することを条件に申告が可能。

※証拠は「あれば」で構わない。最悪1ヶ月分の明細だけでもOK。あとはタイムカードのコピーやシフト表など、働いた時間が分かるものや契約書など。

基本的には申告した個人が調査対象になるので、全員分の残業代を会社側が支払うかどうかは分からないらしいです。

代表者にだけ支払いをして、あとは元通りというパターンもあるようなので、複数名で申告する場合は訴えたい人全員の氏名の公表が必要になります。

ということは、いきなり相談に来て「証拠資料があるからすぐに調べてください」はできないっていうことですね。

あくまでも「自分自身で会社と交渉したけど聞き入れてもらえなかったとき」のみ動きますというスタンス。

そりゃ数多のブラック企業がひしめく日本で全部の相談を片っ端から解決、なんて無理ですよ。

しょうがない。

翌日

社員さんの中には妊婦さんもいたので、もし訴えるなら自分の名前を公表することになるし、嫌がらせをされる可能性もあるから無理だけはしないで。

と伝えた上で社員全員が訴えることになりました。

そうなったら話は早い。皆で休憩時間を使って協力して店長にばれないようにタイムカードの写真を取ったり、シフト表を過去2年間分コピーして労働時間の計算をしたり。

そして2日ほどで書類完成。

1枚目…請求したい未払い賃金の額と署名。

2枚目…「これからは有給休暇を使います」という宣言や「給料の見直しについて」などを文章で書いたもの。

返答の期限は2週間後、1日でも遅れた場合は労基に申告しますと書きました。

これを4人分用意して、会議の日に店長に持っていってもらうことに。

(この日までに4人全員が店長と面談をして、訴えるのではなく嘆願書を渡したいという話をしています。)

2週間後

何故か連絡無しで面談をしにきた先生。

もちろん忙しかったので帰っていただきました。

返答もいただけなかったので後日労基へ。

労基へ〜申告〜

休みのスタッフと昼番のスタッフ3人で労基に行きました。

その日朝番だった後輩Bは後日申告に。

申告の手続きは30分もかからずに終わりました。

申告先の住所や会社名、自分の住所、名前を書いてハンコを押すだけ。

持っていった証拠をコピーするほうが時間かかったくらいです。

なるべく早く受理してご連絡しますと言っていただき、説明を受けました。

【申告後の注意事項】

  • 会社側が金銭の支払いに応じるかどうかは分からない。
  • 申告者に嫌がらせをする場合がある。

支払わない場合でも労基に強制力はないのでどうすることもできないそう。

ただその場合は悪質だということで別の問題が出てくるらしいです。

また、名前を公表しての申告は、申告者を辞めさせることができない代わりに上司からのパワハラやその他の嫌がらせがある可能性もあります。

もし嫌がらせをされたとしても労基は手出しができず、助言をすることしかできないけど万が一そういった行為をされたら必ず連絡してくださいと言われました。

申告して解決するまでは、内臓むき出しのサンドバックになるってことですね…

正直そんな大人げないこと流石にしないでしょ。と思ってました、この時は。

調査開始

申告から数日後、担当者Mさんから連絡がきました。

これから名前を公表して調査をするために会社側に連絡するから、改めて4人の名前に間違いがないか確認したいという連絡でした。

申告者の皆さんが不当な扱いを受けた場合には、すぐに連絡してと言ってくださいました。

数日後

会社側に連絡して、調査の日程を決めますという連絡が。

なにか動きがあるたびにこまめに連絡をくださるのはとてもありがたかったです。

嫌がらせが始まる

店長が先輩一人の責任になるように印象操作したのが原因で、全ての嫌がらせを1人で受けることになってしまいました。

いきなりの異動命令、従わなかったら勤務時間の前に他店舗に行かされ、研修という名目で知らない人からお説教。

店長にはこんな嫌がらせをするのは止めてほしいと何度も言いましたが、この時すでに私の知っている店長ではなくなっていました。

職場に会社側の人間は1人もいないのにメンタル鬼強。

挙句の果てにはオーナーから本社への呼び出し。

散々罵ったあと、半強制的に退職させようとするという大事件。

オーナー
オーナー
明日から別店舗に異動か、4月末で退職するか今ここで選びなさい。

そんなことあります???脅しじゃないですか。思い出しても腹が立つ。

労基の電話には出ないくせに嫌がらせだけは一丁前にしてくるの最低過ぎますね。

ふざけんな。

先輩が半強制的に退職することになったと泣きながら教えてくれた翌日、私以外の3人も退職届を提出しました。

辞めるのは構わないけど、自己都合退職になりますよ。と言われましたが、なんでも構わん。

そのあと嫌がらせは一切なくなりました。

4月になると労基の担当者がMさんからIさんに。

未払い賃金の受け取り

退職届を提出したあとは割とスムーズに事が運んでびっくり。

最後の給料と一緒に未払い分も支払うということに決まりました。

退職後なので皆バラバラに受け取ることになりましたが、その連絡も労基を介さずに直接電話してきました。

初回組は先生が指定した日時に本社へ受け取りに。

ここで問題発生。

労基に連絡せず勝手に支払いを済まそうとしていることが判明。

社労士にも言わずに独断で話を進めていたよう。

労基が金額の最終確認をする前にお金を渡して、署名さえもらってしまえば勝ちだと思ったんでしょうか?

私達が嘆願書に書いた大まかな金額をそのまま渡してきました。

言うことを聞かない会社側に為すすべなく、そのまま受け取ることに…

私が受け取りに行った時は、まず目の前に封筒と給与明細を投げるように置かれて中に入っている金額が間違っていないかを確認するように言われました。

金額は合っていたので「大丈夫です。合ってました。」と伝えると、

オーナーの妻
オーナーの妻
これで、満足ですか?

と、ふてぶてしい顔で聞いてきました。

もう関わることもないので、笑顔で「はい!!満足です。色々とお世話になりました。」と言ってその場から立ち去りました。

受け取った金額を労基で改めて計算していただくと、また先輩だけ金額が低かったよう。

金額が違うのに申告者と相談して決めたと言い張って聞かないらしく、それ以上は裁判になるとのことで深追いはしませんでした。

1月初めから7月まで約半年

長い闘いの中で、先輩は食道にポリープができて緊急手術。

私は原因不明で歯の神経が飛び出たので抜髄。

まともに食事ができず体重も7キロほど減り、痩せこけました。

今はみんな元気にしてますけど、本当にあんなことは経験しないほうが絶対にいいです。

未払いのお金もらったって体壊して治療した分だけ楽しく過ごせたはずの時間は奪われてるわけですから。

友達とご飯に行った時に食べれるメニューが限られる辛さ。

ちょっと休憩…のたびに気を遣わせてるんじゃないかって悲しくなるし。

給料数カ月分くらいの未払い賃金をメンタルすり減らして貰うよりも、転職してよりよい職場で働いてお金を貰うほうがいいです。これは絶対。

しょうもない会社に貴重な時間を奪わせたらダメです。

これはおかしいって気がつけたならそこから逃げる方法を考えましょう。

楽しく生きることが何より大切です。

ちなみに私はブラック企業を訴えて貰ったお金で歯の矯正をしました!!

やりたいことはやらねば損(^^)

行動に移すまではなかなか一歩踏み出すのが難しいと思います。

あまり意識せずに上司に愚痴をこぼしてみたり、求人サイトで申し込みしてみたり。

何か1つ行動することであれよあれよという間に変わらざるを得なくなる出来事が起こると思いますよ。

おしまい

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